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へちま薬師日誌

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2021年 06月 09日

私説法然伝76

『私説法然伝』(76) 法然がくる③

先月号では法然がくるということで、「大原問答」について書きました。今月号はその続きについて書きます。

【大原問答の結末は、顕真法印の感謝感激の念佛行道にて終わったと伝記にはある。顕真法印は法然上人を称賛して阿弥陀佛の化身であるとまで言われたのだ。よほどのインパクトであり感激であったのだろう。顕真法印はこの後に念佛の人となった。そして天台座主となり、やがて往生を迎えるその日まで念佛の人であり、他者へも念佛を勧め続けた。なぜなのだろうか?
 それは、法然上人の言葉に顕真法印の望んでいた答えがあったからはないだろうか?『法然上人行状絵図』にはこの後の顕真法印の消息(しょうそく)(手紙)の内容が記述されている。そこにある言葉から考えていくと、顕真法印にとって重要であったのが、罪障消滅という認識である。罪障消滅とは、自分が作り出す罪障=悪業が消えるかどうかという事である。顕真法印は法然上人の話を聞いて、念佛の利益(りやく)=功徳は自己の作り出す悪業(あくごう)が消えるのだという確信を持った。正確に書けば、自己の悪業が極楽往生の妨げにならないという事であり、それは阿弥陀如来の願いは罪障を持つ我々を救う事であるからである。法然上人は学問の人であり、顕真法印もまた同じくである。求めるところは同じであり、悩むところも同じくであったのだろう。法然上人は一つの気づき=回心によって念佛というものを理解されていったように、顕真法印もまた気づきがあったのであろう。
 大原問答からわかる事は、法然上人の考えを理解し賛同する法然上人とは全く違う立場や考え方の僧侶がいたという事である。単純にカリスマ性であるとか話術であるとか、そういった点で法然上人が世に認められたわけではないという事である。法然上人の考えた結果であるとか見つけた事実によって認められるのである。この点が非常に重要な点である。それは今後の法然上人の人生にも関わる事でもあのだ。今後の法然上人の人生を考える点で、大原問答というものは非常に示唆に富むのである。顕真法印という天台座主になる程の僧侶が法然上人の示した思想に賛同したのである。これは非常に重要な点である。】


by hechimayakushi | 2021-06-09 22:36 | 私説法然伝 | Trackback | Comments(0)


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