2023年 07月 18日
『私説法然伝』(九十九)選択本願念佛集① 先月号では法然上人が選択本願念仏集を書かれるところまで書きました。今月号はその続きについて書きます。 【建久九年(一一九八年)法然上人は『選択本願念佛集』を撰述された。撰述とは書物を書き示すことであるが、『選択本願念佛集』略して『選択集』は法然上人一人で書かれたものではない、むしろ法然上人の指示によって弟子達と共に作り上げられたものである。『選択集』そのものの原本は現存していないが、各種伝承や歴史的事実などからいくつかはっきりとしていることがある。 まず「草稿」が作られた模様であり、これは現在「廬山寺本」として京都廬山寺に所蔵されているものである。これは法然上人が口述されたものを弟子がまず書き留めて作成されたものとされる。法然上人は「選択本願念仏集」という内題と「南無阿弥陀佛 往生之業念仏為先」という文だけを書かれたという。第一章から第三章までを真観房感西しんかんぼうかんさい、第十二章までを安楽坊遵西、第十六章までは不明とされていたが、西山浄土宗流祖の善慧房證空上人が書かれたという説が濃厚である。これに勢観坊源智を加えた少数の弟子達によって作成されたという説である。しかし安楽坊遵西は第三章まで書いたところで慢心し、法然上人によりこの「作成チーム」外されたという。善慧房證空上人は「勘文の役」という法然上人の口述される内容が正しいかどうか、経典などの原典を探して確認する役目であった。言わば法然上人の秘書にして校正までを行う役目である。 こうして出来上がった草稿本を元に清書されて九条兼実卿に献上された。その清書された『選択集』は上下二巻であり、上巻を法然上人が、下巻を善慧房證空上人が書かれたと伝わる。残念ながらその本そのものは行方不明であるが、法然上人にとって善慧房證空上人がどれだけ重要な弟子であったかがわかる史実であろう。 『選択本願念佛集』とは、「佛」が選択されたこと、つまり「本願」とは何か、「念佛」とは何か、ということを法然上人が経典などに基づいて説き示されたものである。一切の衆生、全ての人々のために阿弥陀如来は「本願」として「念佛」を「選択」された、その意義を法然上人が論理的に明かされたものというわけである。】 法然上人が撰述された『選択集』とは、法然上人とお弟子達によって作られたものです。そのお弟子の中に西山浄土宗の流祖となられる善慧房證空上人が重要な役目を果たしていたというわけです。それは、それだけ善慧房證空上人という方が法然上人を理解していたという事でもあります。以下次号に続く
by hechimayakushi
| 2023-07-18 23:15
| 私説法然伝
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